競技でもティーチングプロとして

7月23日~25日という酷暑真っ只中に3日間実施される「ティーチングプロ競技会」。
スタートホールで自分順番を待つ間、手が震えているのに気づく「私、緊張しているのだろうか」と自分自身の心の状況を客観的に感じ取ってみる。笑顔のない他の選手たちを眺めることで、ほんの少しだけ緊張がほぐれる気がする。きっと、緊張しているのは私だけでないんだと。
スタートホール、ドライバーを左に曲げてしまい、その後アイアンでのリカバリーも物足りないものとなり、さらにパターも不安定な状態が重なり結果 トリプルボギー。スリーオーバーのスタート。私、もしかして初日85くらい叩いてしまうのかも…と頭を過る。
メンタルコーチの顔が浮かび、気持ちを落ち着かせる。良くない想像・イメージは抑え込みたい。
次のホールは、ショートホールでパー スリー。ユーティリティを握り、気持ちを入れ替える。「次は必ず、バーディーを取る」「いや、取らなくてはならない」、自らを信じる精神を持ち、心に言い聞かせる。そして半ば開き直った気持ちでハートを込めたショット、ミートしたボールはまっすくピンに向かって飛んでいく。
何故か、スキッとした感覚になった。
うまくグリーンを捉えたのは確認してはいたけどボールの位置はどうか。気になる。
早足でグリーンに向かうと、ボールはピンそば1メートル以内だった。
オッケーバーディー。嬉しい。 次のホールへ向かう途中、ティーチングプロだった父の勧めで幼少期にゴルフを始めた頃のこと、競技としてゴルフをしていたころ、そしてここ数年は競技から離れ、お客様のスイングとボールをチェックすることに多くの時間を割いてきたことなどを考えていた。

7月末に実施されたJLPGAティーチングプロ競技会2025に出場した横井友香プロから聞き取りした競技会でのリアルなエピソードにちょっぴり想像も加えたストーリーとして紹介させていただきました。
暑さの中、3日間の競技会は厳しいものだったと想像します。
横井友香プロ、大変お疲れさまでした。
「ティーチングプロ競技会」で3日間 テンアンダーで優勝された選手は、競技一本でやっていこうと本気で頑張っている方なのだろうと想像ができます。
テンアンダーで2位と6打差をつけて優勝は本当にすごいことです。
一方で、ALGOでもレッスンをされているQTで優勝経験を持つ前田雄大プロ曰く、「ツアープロを目指すなら18ホールを10アンダーで上がってくるくらいのスコアでないと通用しないだろ」と話されていたのを思い出しました。
18ホールで、10アンダーを求められるとは…とても厳しい世界だと改めて感じます。
もう1つ、横井友香プロが話してくれたエピソードに「ティーチングプロ競技会」を象徴するようなできごとがあったので最後にご紹介したいと思います。
最終日、同じ組になった選手たちは、私にとって良いフィーリングを受ける人たちだった。自分自身が3日目となり少しだけ競技会の雰囲気になれてきたといいうのもあるのだろう。
同じ組の中に普段からティーチングプロとしてレッスンを生業とし、練習場施設とオンコースでレッスンに多くの時間を費やしている方がいた。私より少しだけ若手だと思う。コース上で彼女と少しだけ話をする機会があり、「なぜ、競技会に参加したの?」と質問してみると、お客さまや友人が勧めてくれたから だそうだ。なんとなく私の状況にも似ていると感じ,親近感を覚えた。
ミドルホール、話題の彼女のショットがフェアウエイに飛んだことを確認して歩き出す。ボールが飛んだ地点に到着すると彼女のボールが見当たらない。コースキャディさんに確認依頼をする。しかし、キャディさんも見つけられない。彼女も不安な顔をしている。私は、バンカーの方に歩いていき、バンカーの淵を確認してみる。なんと、バンカー淵の砂が斜めになった部分にボールが収まっていた。彼女に伝えるとコースを見回した後、あまり考える様子もなくフェアウエイのグリーンと逆方向に丁寧にショット、最も打ちやすい場所へリカバリーした。「うまい!」と思わず口に出る。その後 彼女は見事なアプローチショットを打ち、ピンそばまでボールを運び、パーで纏めた。ボールがカップインしたその瞬間 思わず「ナイス!パー!」と声が出てしまった。それを聞いて彼女はボヤっした感じで私を見ていたけど、嬉しかったのか笑顔になった後、突然泣き出してしまった。
ひとしきり涙を出すと「ありがとうございます。横井友香プロは、ほんとに優しいんですね」と声をかけてきた。
横井友香プロは、月間100時間以上はゴルフのレッスンに関わっている。その繰り返しが習慣となり自然にゴルファーを応援したくなってしまうのでしょう。例え、それがライバルであったとしても良いショットには「ナイスショット!」と声が出てしまうのだと思います。
これは、あくまで筆者の考えですが「ティーチングプロ競技会」というタイトルであるのなら参加者には月間百時間以上のレッスンを実施していることなど、一定のレッスン実務が条件としてあって良いと感じます。プロツアーを目指す方やプロライセンス取得に失敗された方がティーチングライセンスを取得し、QT出場を目的に「ティーチングプロ競技会」に出場するとなると競技会の本来の意義「ティーチングプロによる競技会」が損なわれてしまうようにも感じます。
ALGOの会員さんの声をご紹介します。「自分がゴルフを教わるティーチングプロが競技で良い成績を出していると嬉しいものですよね。」
横井友香プロ、来年も「ティーチングプロ競技会」に挑戦してくださいね!
みんなで応援しますから!


